地域大学の振興・就業促進に関する法律施行令案(仮称)へのパブリックコメント

「地域における大学の振興及び若者の雇用機会の創出による若者の修学及び就業の促進に関する法律施行令案」(仮称)概要に対する意見(パブリックコメント)

平成30年9月7日

全国公立短期大学協会 会長 鈴木道子

1 施行令(案)第5関係

同法における専門職大学等については、平成27年12月「まち・ひと・しごと創生総合戦略」2015・2016改訂版(閣議決定)で示されたとおり、「地域産業を担う」専門職業人材育成を推進する観点からの新たな高等教育機関の制度化であったと承知しています。

施行令(案)第5の経過措置において、定員増の抑制の「例外」として規定された専門職大学・短期大学等の扱いは、この閣議決定の趣旨にそぐわないものであり、また、若者の東京への一極集中を避ける定員抑制の制度においても均衡を欠くものと考えます。

なぜならば、この例外規定に基づいて平成31年度開設に向けて設置申請されている専門職大学等は、東京23区内をはじめ大都市圏において規模の大きいものが計画されており、これらに地方から学生が集まり、卒業後は、就職先の多い23区内を始め東京都内に職を求めることが容易に想定され、結果として東京への人口流入は避けることができず、先の閣議決定の趣旨に反する結果となることが見込まれます。

よって、この例外措置が本来の法の趣旨に沿って、実質的に「地域産業を担う」専門職業人材育成の役割を担ったものとなることを担保できるような政令を定め、併せて、新増設に当たっては、必要性と合理性を審査する機関設置の措置を講ずる必要があります。この例外規定が、制度の抜け道とならないような制度設計を要望します。

 

3 命令(案)第四の「1 【令第四2関係】」及び「2 【令第四4関係】」について

上記命令(案)において、収容定員抑制の例外にいわゆる社会人を含めることには賛成です。東京23区は社会人がとくに学びやすい環境にあるので,勤労学生を含む様々な社会人への門戸を大学が積極的に開いていくことは当然だと考えます。しかし「命令案」では社会人が狭く捉えられており,条件にも精粗が見られますので,逆に制度として利用しづらいのではないかという点を懸念します。

多くの大学は社会人特別選抜の出願資格において求める社会人像をすでに示していますので,それに基づいて,例えば「一都三県地域枠」のような募集方法で各大学の求める社会人を受け入れることはできないのでしょうか。アルバイトをしている浪人生など,趣旨に合わない対象を出願資格から除外する手段については,現行の社会人入試でも対応できていると考えます。

 

<以下 参考>

定めようとする命令等

・地域における大学の振興及び若者の雇用機会の創出による若者の修学及び就業の促進に関する法律施行令案(仮称)
・特定地域内学部収容定員の抑制等に関する命令案(仮称)